「ショックドクトリン」とは、経済学者ミルトン・フリードマンの理論に基づき、ナオミ・クラインがその著書『ショックドクトリン:災害資本主義の台頭』で詳細に説明した概念です。
この理論は、大きな危機や災害が起こった際に、それを機に急進的な経済改革を行う政策のことを指します。
ショックドクトリンの主要なポイント
危機利用の戦略
ショックドクトリンは、自然災害、戦争、経済危機などの大規模なショック状態を利用して、急進的な自由市場改革を推し進める戦略を指します。
政策の導入
危機の混乱期には、通常は受け入れられないような政策(民営化、市場自由化、社会サービスの削減など)が導入されることがあります。これは、危機のショックが人々の抵抗を弱めるという理論に基づいています。
フリードマンの影響
ミルトン・フリードマンは、この種の政策を推進する理論家として知られています。彼は、危機時には「痛みの伴う」改革を迅速に実施すべきだと主張していました。
ショックドクトリンの実践例
チリのピノチェト政権下での経済改革や、アメリカのイラク侵攻後の経済政策、ハリケーン・カトリーナ後のニューオーリンズでの教育制度改革など、クラインは世界中の多くの事例を挙げてこの理論を説明しています。
ショックドクトリンへの批判と議論
ショックドクトリンは、経済的、政治的に大きな議論の対象となっています。一方で、危機を機に改革を進めることの効果を評価する声もありますが、他方で、そうした改革が人々の権利を侵害し、不平等を拡大させると批判する声もあります。
ナオミ・クラインの著書では、この理論がいかにして適用され、多くの国々や地域の社会や経済に影響を与えたかについて詳しく解説されています。ショックドクトリンは、現代社会の政治経済学において重要な概念の一つとされています。
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